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アメリカで日本食はどれほど人気なのでしょうか。結論から言うと、市場は拡大を続けており、まだ大きな伸びしろがあります。全米の日本食レストランは約2万4,000軒に増え、市場規模は約5兆円と推計されています。本記事では、市場規模と注目カテゴリーをまずAIに聞き、その答えを米国の食品市場を知る監修者が現場から検証します。
この記事でわかること
- 全米の日本食レストランは23,981軒(2025年)、対米食品輸出は2,762億円で、市場は拡大が続いている
- 日本食が日常食になったのは沿岸部の州が中心で、内陸部にはまだ大きな伸びしろがある
- 2026年の注目は、抹茶、二極化する寿司、麺・焼き鳥の専門店、ブリなどの水産物、調味料の5分野
- 参入時は「地域」「売り場」「制度変更(関税)」の3点を押さえると、失敗を減らせる
米国の日本食市場規模と成長性をデータで確認
米国の日本食市場は、店舗数と輸出額の両面で拡大を続けています。
AIの回答1. 日本食レストランは約2万4,000軒
まずは基本のデータを、AIに聞いてみましょう。
AIの答えは「日本食は全米で日常的に消費されるカテゴリーへと発展している」というものでした。根拠は次のデータです。
ジェトロ等の調査では、2025年12月時点で全米の日本食レストランは23,981軒でした。2022年比で4.0%増え、1992年の約8倍です。※1
民間の推計では、米国の日本食レストラン市場は2025年に約325億ドル規模です。※2
2025年の対米農林水産物・食品輸出額は2,762億円(前年比13.7%増)で、米国は輸出先の1位です。2026年上半期も前年同期比15.3%増と伸びています。※3※4
23,981軒
日本食レストラン数
(2025年12月時点)
約325億ドル
日本食レストラン市場規模
(2025年)
2,762億円
対米農林水産物・食品輸出額
(2025年)
州別では1位のカリフォルニア州が初めて減少し、人口が増える州が伸びています。
| 州 | 2022年 | 2025年 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| カリフォルニア | 4,995軒 | 4,515軒 | −9.6% |
| ニューヨーク | 1,936軒 | 1,879軒 | −2.9% |
| フロリダ | 1,501軒 | 1,750軒 | +16.6% |
| テキサス | 1,197軒 | 1,454軒 | +21.5% |
| アリゾナ | 491軒 | 615軒 | +25.3% |
現場の検証2. 数字の裏で起きていること
約325億ドルは、1ドル=約158円(2026年10月14日時点)で換算すると約5.1兆円です。※5日本の外食産業(2023年、24兆1,512億円)の約5分の1にあたります。※6
では、AIの言うように日本食は「日常的に消費されるカテゴリー」になったのでしょうか。米国のフードサービス(外食)市場の売り上げは、2025年に約1兆2,867億ドルでした。※7米国内の日本食レストランの年間総売り上げは約325億ドル(2025年)なので、約2.5%です。
こうしてみると、AIの答えには違和感があります。AIは沿岸部と内陸部の州を分けて考えていないからです。カリフォルニアやニューヨーク、フロリダなど沿岸部の州では、一般的な米国スーパーにも日本食の棚があり、持ち帰りコーナーで当たり前に「SUSHI」が売られています。
一方、ノースダコタ、カンザス、アイオワなど内陸部の州では、日本食の認知はまだ高くありません。若者や富裕層で需要は伸びていますが、沿岸部より20年ほど遅れている印象です。
色が濃い州ほど、日本食レストランの軒数が多いことを表しています。
出典
アメリカの日本食トレンド:注目の5カテゴリー
2026年は「寿司・ラーメン」の定番を超えて、人気の日本食の幅が広がっています。
AIの回答1. 2026年に伸びる5つのカテゴリー
次に、2026年の注目カテゴリーをAIに挙げてもらいました。
⑤
調味料
醤油、だし、味噌、ポン酢、焼肉のたれが家庭で使われ、アジア系以外にも浸透しています。
現場の検証2. 定番として売れ続ける条件
ここはAIの答えがほぼ正しい、というのが監修者の見方です。強いて加えるなら、一般的な米国スーパーで好まれる「ゆず」味の商品と、都市部で伸びるおにぎりの需要です。
ゆず味やおにぎりのように一般のスーパーで売れる商品が増えるほど、供給の安定が問われます。ジェトロ等の調査によると、サンフランシスコでは高品質な日本産抹茶が品薄になり、価格が急騰しています。※1
同じ調査は、パンデミック後のサンフランシスコでコンセプトが曖昧な店が淘汰されたと伝えています。何を売る店・商品なのかが一目で伝わることが、定番として残る条件といえます。※1
日本食の海外進出で米国市場を狙う3つの視点
米国で成果を出すには、3つの視点で準備することが大切です。
AIの回答1. 地域・売り場・制度変更の3視点
最後に、米国市場を狙うポイントをAIに聞きました。
- 地域:成熟した沿岸部か、人口が増える州や内陸部か
- 売り場:レストラン、スーパーの寿司売り場、抹茶カフェなど
- 制度変更:関税や食品規制の変化を前提に価格と手続きを設計する
現場の検証2. 関税が左右する成長の伸びしろ
ただし、AIの答えは関税の影響の大きさまでは示していません。特に重要なのが「トランプ関税」です。12.5%の関税により、米国の消費者は円安の恩恵を受けられていません。※10
今後、関税が撤廃されれば、日本食は総じて10%ほど安くなると思います。下がり幅が12.5%より小さいのは、関税が食品自体の価値にかかり、輸送費や米国内の諸経費にはかからないためです。
価格が10%下がれば、買える消費者は大幅に増えます。外食売り上げに占める約2.5%という数字は、裏を返せば伸びしろの大きさです。米国のフードサービス市場は、2025〜2032年にCAGR(年平均成長率)7.0%で伸びるとの予測もあります。※7
まとめ
米国の日本食市場は拡大が続いていますが、外食に占める割合はまだ小さく、内陸部を中心に大きな伸びしろがあります。一方で、関税などの制度は動き続けています。データと現場の両面から、自社の商品に合う入り口を見極めることが、米国で長く売れ続けるための第一歩です。
この記事の監修者Blue Polaris CGONick Sakagami
日本国外で唯一の「おさかなマイスター」。著書『Sushi Master』は5か国語に翻訳。ロサンゼルスとニューヨークを拠点に複数の水産物輸入商社・卸売事業を創業し、マグロ専門輸入商社を年商40億円規模へ成長させた。近大マグロの米国市場でのブランディングに成功し、日本産鮮魚のほぼ全米への週次供給網を構築した。プロフィール ›