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日本で問題なく販売できている加工食品でも、米国へ輸出する際には、原材料や添加物が規制の対象となる場合があります。

特に注意したいのが、豚・鶏などの動物性原料、ロシア由来の一部水産原料、米国で使用が認められていない着色料です。

日本では一般的に使われている原料でも、米国では輸入できなかったり、原料の原産地や製造施設まで確認が必要になったりするケースがあります。

本記事では、米国への食品輸出でつまずきやすい3つのポイントについて、対象となる原材料や規制の内容、確認方法を整理します。商品開発や配合設計の段階で確認しておくことで、輸出時の手戻りや商品設計のやり直しを防ぎましょう。

この記事でわかること

  • 豚・鶏などの畜産由来原料は、原料の種類・含有量・製造施設などによって米国での輸入可否や所管が変わる
  • ロシアで生産された、またはロシア管轄水域・ロシア船籍船で漁獲されたサケ・タラ・スケトウダラ(ポロック)・カニは、第三国で加工しても米国への輸入が禁止される
  • 日本で使用できても、米国では食品用着色料として認められていないものがある
  • FD&C Red No. 3(赤色3号)は、2025年1月に食品への使用許可が取り消され、2027年1月15日までに配合の切り替えが必要
  • 原材料の適合性は、配合表だけでなく、一次原料の原産地や製造施設まで確認することが重要

動物性たんぱく質:畜肉エキス・卵は輸入規制の対象

動物性原料は、原料の種類や含有量、原料製造施設の認定状況によって、米国での輸入可否や所管が変わります。

米国では、食肉・家きん肉・卵製品については主にUSDA(米国農務省)の食品安全検査局(FSIS)が所管します。一方、一定の量・形態の動物由来原料を含む加工食品については、FDA(米国食品医薬品局)側の制度が関係する場合もあります。※1

特に注意したいのが、肉そのものだけでなく「エキス」です。

カレールー、インスタントラーメン、スナック菓子の調味粉などには、ポークエキスやチキンエキスが使われていることがあります。

牛・豚由来の脂肪、獣脂、肉エキスなどについては、含有量が30%以下の場合、FSISの所管外となるケースがあります。ただし、原料製造施設の認定やFDAの施設登録、APHIS(米国農務省 動植物検疫局)による輸入条件の確認など、別途要件があります。※2※3「30%以下なら輸出できる」という意味ではない点に注意が必要です。

なお、米国は豚熱の発生を理由に日本からの豚肉などの輸入を停止しているため、日本産の豚由来原料は含有量にかかわらず使用が難しいのが実情です。※4

一方、日本から米国への豚肉・家きん肉の輸出は認められていません。※2そのため、豚・鶏由来の原料を含む加工食品については、原料の種類、含有量、原料製造施設などを個別に確認する必要があります。

30%以下

牛・豚由来の脂肪・獣脂・肉エキスなどは、含有量によって適用される規制や所管が変わります。ただし、含有量だけで輸出可否が決まるわけではなく、原料施設や輸入条件などの確認が必要です。

卵についても注意が必要です。米国の「egg products」に該当する液卵、冷凍卵、乾燥卵などはUSDA FSISの管轄となり、輸出国の同等性や認定施設などの要件が関係します。現在、米国に卵製品を輸出できる国はカナダとオランダに限られています。※5一方、卵を原料として使用する食品すべてが「egg products」に該当するわけではなく、ケーキミックスや麺類など、FSISの管轄外となる食品もあります。※6商品ごとに所管と輸入要件を確認することが重要です。

対策としては、まず配合表や原材料規格書から動物由来原料を洗い出し、原料の種類・含有量・製造施設・原産国まで確認します。そのうえで、必要に応じて動物性原料を別の原料に置き換えることも検討します。

ロシア産原料:水産加工品は第三国加工でも禁輸

ロシアで生産された、またはロシア管轄水域・ロシア船籍船で漁獲されたサケ、タラ、スケトウダラ(ポロック)、カニは、第三国で加工して別の商品になっていても、米国への輸入が禁止されています。※7

2023年12月の措置により、対象となる4種類の水産物は、第三国で加工・実質的変更が行われた場合でも輸入禁止の対象となりました。※7つまり、日本国内で加工したからといって、米国への輸入が可能になるわけではありません。

輸入禁止の対象

4魚種

サケ・タラ・スケトウダラ(ポロック)・カニ

ロシア由来のこれらの水産物は、第三国で加工した場合でも米国への輸入規制の対象です。

さらに、CBP(米国税関・国境警備局)は、対象となる水産物について、ロシア由来の原料を含まないことを確認する輸入者の自己証明(self-certification)を求めています。※8対象商品では、原料の由来を確認できる証憑を準備しておくことが重要です。

ロシアは日本の主要な水産物輸入先の一つ(2021年の輸入額で第3位)であるため、原料の調達先だけでなく、漁獲海域や船籍まで確認する必要があります。※9

例えば、明太子、いくら加工品、カニ加工品、すり身を使った練り製品など、水産原料を使用する加工食品では、原材料の産地によって米国向け輸出の可否が変わる可能性があります。

そのため、米国向け商品の配合を決める際は、原料メーカーや仕入先から産地情報を取得し、必要に応じて漁獲海域や船籍まで遡って確認しておくことが重要です。

特に、「日本で加工したから大丈夫」と判断しないことが重要です。米国向けの商品では、完成品の製造国だけではなく、使用している原材料の由来まで確認する必要があります。

アメリカの添加物規制:日本の着色料が使えない理由

日本で使用できる着色料でも、米国で食品への使用が認められているとは限りません。

米国では、着色料についてFDAが使用を認めたものを、定められた条件のもとで使用する仕組みになっています。※10日本と米国では認められている着色料が異なるため、日本向けの商品と同じ配合をそのまま米国向けに使用できないケースがあります。

1.米国で使えない日本の主な着色料

日本と米国の着色料の扱い(主な例)※11※12※13
着色料日本米国
クチナシ黄色素使用可食品用着色料として使用不可
クチナシ青色素使用可一部食品への使用が認められている
ベニコウジ色素使用可使用不可
ベニバナ色素使用可使用不可
食用赤色102号使用可使用不可
FD&C Red No. 3(赤色3号)使用可食品への使用許可が2027年1月15日で終了

クチナシ青については、FDAが食品への使用を認めており、スポーツドリンク、フレーバーウォーター、果汁飲料、茶飲料(RTD:そのまま飲めるタイプ)、ハードキャンディ、ソフトキャンディの6分類に限って使用できます。※12したがって、「クチナシはすべて米国で使えない」と一括りにするのではなく、色素の種類と用途を確認する必要があります。

一方、赤色102号、ベニバナ、ベニコウジなどは、日本では使用されていても、米国では食品用着色料として認められていません。※11

2.赤色3号など、米国で進む着色料の見直し

FD&C Red No. 3(赤色3号)については、FDAが食品での使用許可を取り消しており、食品については2027年1月15日までに配合を切り替える必要があります。※13

またFDAは、石油由来の合成着色料についても段階的な見直しを進めています。※14ただし、他の合成着色料については、すべてが現時点で連邦法上禁止されているわけではありません。規制上の禁止と、業界への自主的な移行要請は分けて確認する必要があります。※14

そのため、米国向け商品を設計する場合は、「現在使えるか」だけでなく、今後の規制や市場の方向性まで見据えて色素を選定することも重要です。

実際の商品開発で感じた、原材料確認の重要性

実際の米国向け商品開発でも、原材料の規制が商品設計に影響するケースがあります。

例えば、米国向けにラーメンを検討する際には、スープにポークエキスやチキンエキスなどの動物性原料が使われていることが多く、そのままでは商品設計を進めにくいケースがあります。日本向けの商品をそのまま輸出するのではなく、スープの配合や使用するエキスまで含めて見直す必要があります。

また、商品開発では「味」だけでなく「見た目」も重要です。赤系の色を出して商品をより鮮やかに見せたい場合でも、日本で使用できる着色料が米国では認められていないことがあります。その場合は、見た目のイメージを維持しながら、米国で使用可能な別の原料や色素への置き換えを検討する必要があります。

水産加工品でも、完成品だけを見ていると分からないリスクがあります。実際に商品の原材料を確認したところ、水産加工原料の一部にロシア産原料が含まれていることが判明し、米国向けには原料の切り替えを検討する必要がありました。

さらに、ハイエンド市場を狙う場合には、法規制を満たすことに加えて、取引先から原材料の産地や製造工程、品質について、より厳格な基準を求められるケースもあります。

まとめ

アメリカへの食品輸出では、日本で問題なく使用できている原材料や添加物でも、米国の規制によってそのまま輸出できないケースがあります。

特に注意したいのが、動物性原料、ロシア由来の一部水産原料、米国で使用が認められていない着色料です。

重要なのは、完成品だけを見るのではなく、商品開発・配合設計の段階で、原材料の種類、含有量、製造施設、原産地まで遡って確認することです。

また、米国では規制の変更や新たな承認もあるため、「日本で使用できるか」だけで判断せず、米国で現在認められている用途・条件まで確認する必要があります。

こうした経験から、米国向けの商品開発では、配合が完成してから輸出可否を確認するのではなく、商品コンセプトや配合を検討する早い段階から、原材料の規制・原産地・取引先の要求水準まで含めて確認しておくことが重要だと考えています。このような事前確認が、輸出時の手戻りや商品設計のやり直しを防ぐポイントとなります。

この記事の監修者Blue Polaris COO五十嵐 圭佑

三菱食品で10年間、冷凍・チルド帯食品の流通実務に従事し、年間20億円の売上を構築。デイブレイクでは米国・欧州・アジアへの販路開拓を牽引し、エンド・ツー・エンドのグローバル・コールドチェーンを確立した。農林水産省等の輸出関連補助金の採択実績も豊富。プロフィール ›

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