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アメリカで食品を売るには、ディストリビューター(輸入品を仕入れ、小売店や飲食店へ届ける卸売業者)との取引が欠かせません。そして米国進出の成否は、最初にどのディストリビューターと組むかで大きく変わります。最初の取引先が、商品の届く販路とその後の選択肢を決めるからです。この記事では、米国の食品流通の仕組みと取引先の選び方、米国バイヤーの探し方を解説します。

この記事でわかること

  • 米国の食品流通は小売向けと飲食向けで経路が分かれ、ディストリビューターごとに届く販路が違う
  • 最初のディストリビューターは「販路」「独占契約の範囲」「自社の関わり方」の3点で選ぶ
  • 米国バイヤーは、展示会・ブローカー・ジェトロの商談会を組み合わせて探すと出会いやすい
  • 取引先は成長に合わせて組み替える前提で、日系から米系へ段階的に広げるのが現実的

米国の食品流通とディストリビューターの種類

米国の食品流通は小売向けと飲食向けで経路が分かれ、組む相手によって届く販路が決まります。

米国では、輸入業者の下に一次卸の「マスター」、二次卸の「サブ」、地域卸の「リージョン」が連なるケースが多くあります。さらに、小売向けと飲食向けでは、最初から流通経路が異なることも少なくありません。日本の食品メーカーが組む相手は、大きく次の4タイプに分かれます。※1

米国の主なディストリビューターのタイプ
タイプ主な販路特徴・注意点
日系食品商社日本食レストラン、日系・アジア系スーパー輸入から配送まで一貫して担う会社が多い。米系スーパーへの販路は限られる
米系ブロードライン卸
(Sysco、US Foodsなど)
一般のレストラン、ホテル、病院全米規模の配送網を持つ。扱う商品が多く、売り込みには販売実績が求められる
ナチュラル系卸
(UNFI、KeHEなど)
ナチュラル・オーガニック系スーパーホールフーズなどへの供給を担う。健康面や認証の訴求が重要
ブローカー米系スーパーや外食チェーンのバイヤー在庫を持たず、商談と棚入れ交渉を代行する。手数料は3〜10%が相場

※2

約2.4万軒

米国の日本食レストラン数(2万3,981軒)※3

7〜8割

日本以外のアジア系住民が経営する日本食店の割合(推計)※1

2,762億円

日本から米国への農林水産物・食品の輸出額(2025年)※4

米国の日本食レストランの大部分は日系食品商社と取引しており、日系の販路だけでも市場は大きいといえます。将来は米系市場まで狙うのか、最初の段階で決めておくことが、取引先選びの出発点です。

最初のディストリビューターを選ぶ3つの基準

最初のディストリビューターは「販路」「独占契約の範囲」「自社の関わり方」の3点で選べば、後戻りのリスクを抑えられます。

①

狙う販路に届くか

日系食品商社は日本食レストランに強い一方、米系スーパーへの販路は限られます。最終的に誰に食べてほしいのかを決め、そこへ届けられる相手を選びます。

②

独占契約の範囲を絞れるか

米国では、独占販売権を求める輸入業者やディストリビューターが少なくありません。地域・チャネル・期間を限定し、販売目標に届かなければ見直せる条項を入れておけば、販路を広げる余地を残せます。

③

自社が営業に関われるか

ジェトロは、食品商社任せの輸出で成功した事例はほとんどないと指摘しています。※1営業への同行や販売データの共有に応じてくれる相手かを、契約前に確かめましょう。

取引先は一度決めたら終わりではありません。森永製菓の米国法人は、ハイチュウを日系代理店経由で、米系スーパーのアジア食品売場に並べていました。幅広い層に受け入れられると分かると米系の流通へ組み替え、米系市場向けの販促プログラムにも参加できるようになりました。最初の契約は、成長に合わせて組み替えられる形にしておくことが大切です。※1

米国バイヤーの探し方|展示会・ブローカー・商談会

米国バイヤーは、展示会・ブローカー・公的な商談会を組み合わせて探すのが近道です。

大手米系スーパーのバイヤーに直接会うのは簡単ではありません。米系との取引に成功した食品メーカーの多くは、展示会やブローカーへの訪問を取引のきっかけに挙げています。※1主な探し方は次の3つです。

米系大手スーパーとの取引では、棚代や販促費、チャージバック(小売側が支払額から差し引く費用)も発生する場合が多くあります。商談の前に、これらを含めた価格設計を済ませておきましょう。※6また、FDA(米国食品医薬品局)の食品施設登録は偶数年に更新が必要で、2026年は10〜12月が更新期間です。※1

まとめ

米国の食品流通では、最初に組むディストリビューターが、届く販路とその後の選択肢を左右します。販路・独占契約の範囲・自社の関わり方の3点で相手を選び、展示会やブローカーを通じて米国バイヤーとの接点を広げましょう。自社に合う商流の組み立てに迷ったら、現地の流通実務を知る専門家に早めに相談するのも一つの方法です。

この記事の監修者Blue Polaris CGONick Sakagami

ロサンゼルスとニューヨークを拠点に複数の水産物輸入商社・卸売事業を創業し、マグロ専門輸入商社を年商40億円規模へ成長させたほか、近大マグロの米国市場でのブランディングにも成功。日本産鮮魚のほぼ全米への週次供給網も構築した。プロフィール ›

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